服薬介助で注意すべきこと

介護職員にとって、服薬介助は利用者の生命をつなぐ大切な業務である。
担当する利用者の服薬状況を正確に把握して、毎回薬の量や種類を間違えないように、細心の注意を払わなければならない。
そのため、薬袋には利用者の名前を記し、服薬カレンダーを作成するなど、工夫を凝らす必要があるし、多種類の薬を服用する利用者については、1回分の薬をまとめておき、服薬を怠らないように配慮する必要もある。
また、服薬の際には、介護職員が利用者に寄り添い、処方された薬をきちんと服用しているかを確認しなければならない。
薬を手渡ししただけでは、自力で飲み込めるとは限らないからだ。

ただし、手先の力が弱っていて上手く薬を服用できない場合や、認知症などにより服薬を拒絶して口から吐き出してしまう利用者もいるため、一人一人に合った対応が必要になる。
さらに、粉薬と一緒に口にする水の量が適切でなければ、むせたり、呼吸困難になったりする危険も生じかねないので、注意が必要だ。

それから、服薬時に手や口から滑り落ちてしまった錠剤は、ベッドのシーツの隙間や利用者の袖口に入り込んで、行方不明になることがしばしばある。
そのような場合、スタッフがすぐに発見して回収できれば良いが、他の利用者が拾って飲んでしまう事故も生じやすいので、気が抜けない。
したがって、服薬介助を行うときの注意点をあらかじめ確認して、事故が起きないように細心の注意しなければならないのだ。

介護職向けの服薬介助ハウツー

介護施設では、一人で薬を服用することができない方をサポートする服薬介助も行っている。
その際、薬の準備をしたり、飲み忘れがないかの確認などをすることになるが、日付や服用のタイミング(食前、食後など)、薬の名前などを確認をし、間違いがないようにしなければならない。
服薬介助では、利用者の状態により対応が異なるが、自分で服薬が可能な場合は薬を手渡しして、飲んだことが確認できる位置で服薬を見守ることになる。
また、自分で服薬できない場合は、スプーンに薬を乗せて口に運んだり、とろみを加えたりして与えるようにしなければならない。

ただし、その際、薬を飲ませるときに用いるのは水でなければならない。
ジュースや牛乳、コーヒー、グレープフルーツなどは薬の効果が減少したり、副作用がでる場合もあるからだ。
また、薬を飲むことを拒否される場合や、飲みこみが困難な場合は、薬剤師に確認を取り、粉砕してよい薬であれば粉状にし、薬を飲みやすくするなどの工夫も必要になる。

それから、服薬を誤ると重大な事故になりかねないので、飲み間違えや飲み忘れを防ぐためには、服薬ボックスやお薬カレンダー、服薬するタイミングが書かれた個包装などを利用することもポイントだ。
いつ、どの薬を飲まなければならないのかが分かると、自身で薬を飲む方も安全に服用ができるだろう。
それから、薬の量を判断するのは医師であることを介護職員も利用者も十分理解しておこう。
病気が治ったり、調子が良いからといって勝手に服薬を止めるたり、量を減らしたりしないようにしてほしい。